葛飾区、江戸川区の相続・遺言・成年後見なら新小岩の古川司法書士事務所

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遺産を独り占めしようとする相続人にはどのように対処すべきか?

a686acebde0ee114f3ab7df74854e0b4_m 遺産相続が起こった際、相続人が複数いると相続人同士で争いになることが多いです。

このとき、遺産を独り占めしようとする相続人がいることでトラブルが起こることがありますが、果たして遺産の独り占めなど許される行為なのでしょうか?

また、遺産を独り占めされた場合にどのように対処すべきかも問題です。

そこで今回は、遺産を独り占めしようとする相続人への対処方法について解説します。

1.遺言がない場合には遺産を独り占めできない

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人が亡くなったときに遺産があり、相続人が複数いるとトラブルが起こりがちですが、このとき、特定の相続人が遺産を独り占めしようとすることで、トラブルが起こるパターンがあります。

そもそも、遺産を独り占めすることなど許されるものでしょうか?

この問題については、遺言があるかないかによって取扱が異なります。

まず、遺言書がない場合には、原則的に遺産の独り占めはできません。

相続人が何人かいる場合に有効な遺言がない場合、相続人全員が話合いをすることにより、遺産分割の方法を決めなければなりません。

この協議のことを遺産分割協議と言います。

そして、遺産分割協議が整わない限り、特定の一人が全ての遺産を相続する内容で相続手続きをすることはできないのです。

また、法定相続人には、法律で定められた法定相続分があります。

たとえば、配偶者と子どもが法定相続人になる場合には、配偶者が2分の1、子どもが2分の1の法定相続分となり、配偶者と親が法定相続人になる場合には、配偶者が3分の2、親が3分の1の法定相続分となります。

このように、法定相続人それぞれに定められた法定相続分がある以上、遺産分割協議を行う場合にもこれに従って話し合いをすすめることが多いです。

これと異なる取り決めができないわけではないので、他の相続人が全員同意さえあれば一人が全ての遺産を相続することも可能です。

2.遺言があると、遺産の独り占めが可能

これに対し、遺言書がある場合には遺産の独り占めができる可能性があります。

遺言書がある場合には、その遺言書が有効である限り遺言内容が優先されます。

遺言者(被相続人)が自分の遺志で、ある特定の相続人に「遺産の全てを相続させる」と指定していたらその内容で適用されてしまいます。

つまるところ、相続人が遺産を独り占めすることになってしまうのです。

ただし、遺言書が偽物であれば遺言書が無効になるので、特定の相続人が遺産を相続することはなく、法定相続人が法定相続分に応じて遺産を取得することになります。

遺言がある場合でも、その遺言書の作成時期や筆跡、内容などからして偽物であることが疑われるのであれば、遺言無効確認調停や遺言無効確認訴訟を起こして、遺言書の有効性を争って遺産の独り占めを防ぐことができます。

3.遺留分減殺請求によって遺産の独り占めを防ぐ

それでは、遺言書が有効である限り、特定の相続人による遺産の独り占めを防ぐことはできないのでしょうか?

実は、この場合でも、独り占めを防ぐ方法があります。

それは、遺留分を行使する方法です。

遺留分とは、一定の範囲内の法定相続人が、最低限取得出来る遺産のことです。

遺留分が認められる場合には、たとえ遺言書があったとしても、遺留分までは遺産の取得を請求することができます。

民法上、遺留分が認められるのは兄弟姉妹以外の法定相続人です。

たとえば、配偶者や子ども、親などが法定相続人になっている場合に他の相続人が遺言によってすべての遺産を相続する場合などには、その相続人に対して遺留分の返還請求ができます。

ただし、遺留分が認められる場合でも、何もしなければ遺留分の返還を受けることはできません。

権利行使をするためには、遺留分減殺請求という手続きが必要です。

遺留分減殺請求とは、遺留分を請求する、という意思を表示することです。

遺留分減殺請求をする場合、まずは内容証明郵便という郵便によって遺留分減殺通知書をおくり、その後、具体的な遺留分の返還方法について話合いをすることが普通です。

話し合いで解決ができなければ、遺留分減殺調停をしたり、遺留分減殺訴訟を起こしたりすることで、遺留分の返還を受けることができます。

このように、遺留分を請求したら、特定の相続人による遺産の独り占めを防ぐことができます。

ただし、兄弟姉妹には遺留分がないので、遺留分減殺請求はできません。

遺言によって特定の相続人に遺産の全部や大部分が遺贈されたとしても、兄弟姉妹が相続人になっている場合には、とるべき方法はないことになります。

まとめ

以上のように、相続人が遺産を独り占めしようとするときには、ケースによって対処方法が異なります。

参考にしてみてください。

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