相続税対策!教育資金を生前贈与する場合に利用できる非課税制度とは?
平成27年1月1日から相続税の基礎控除が下げられたことにより、多くの家庭において相続税が課税される可能性が高まっています。
そこで、一般家庭でも相続税対策を行う必要があります。
相続税を節税するには生前贈与が効果的ですが、生前贈与にはいくつか贈与税の非課税制度があります。
そこで今回は、教育資金を生前贈与する場合似利用できる非課税制度について、ご説明します。
1.教育資金の一括贈与制度とは
近年、相続税制の改正によって、相続税が増税されましたが、これに対して贈与税にはいろいろな控除制度や非課税制度がもうけられています。
そこで、生前贈与を効果的に利用すると、相続税を節税することが可能になります。
生前贈与の非課税制度の1つに、教育資金一括贈与の際の非課税制度があります。
これは、親や祖父母が子どもや孫に対し、教育資金を生前贈与した場合に、その贈与税が一部または全部非課税になる制度です。
この制度を利用するためには、資金は一括払いされる必要があります。
また、親子間や祖父母と孫の間での贈与である必要があり、資金の利用目的は教育でなければなりません。
教育資金一括贈与は、信託銀行を利用する手続きであり、利用できる期間は平成31年3月31日までとなっています。
2.当事者の要件
教育資金の一括贈与制度を利用できる当事者の要件について、ご説明します。
まずは、贈与者が直系尊属(親や祖父母)であり、受贈者が直系卑属(子どもや孫)である必要があります。
よって、叔母や叔父から甥や姪などへの資金贈与には利用できません。
また贈与を受ける子どもや孫は30歳未満でなければならず、30歳になると、この制度を利用することはできません。
3.非課税になる枠
教育資金一括贈与制度によって非課税になる枠は、教育資金の利用目的によって異なります。
具体的には、
① 学校などに支払う入学金や授業料その他のもの
② 学校など以外に対し、教育に関して支払う金銭
の2つに分けられますので、以下でそれぞれについて解説します。
(1)学校等への支払金のケース
①の場合は、広く学校等への支払いを行うケースです。
この場合、最大1500万円までの贈与分が非課税になります。
対象となる学校は、具体的には、小中高等学校や大学、専修学校、認定こども園や海技大学校、海上技術短期大学校、国立看護大学校などです。
職業能力開発総合大学校や職業能力開発(短期)大学校、職業能力開発促進センター、障害者職業能力開発校なども含みます。
そして、以下のような費用が贈与税非課税の対象になります。
l 入学金や授業料、入園料や保育料、施設設備費
l 入学試験、入園試験の検定料
l 在学証明や成績証明書などの取得手数料
l 学用品の購入費や修学旅行費、学校給食費などの費用
(2)学校等以外への支払金のケース
② の場合は、具体的には学校以外の学習塾や習い事などにかかる費用を意味します。
この場合、最大500万円までの贈与金の贈与税が非課税扱いになります。
対象となる費用は、たとえば習い事の月謝や施設の使用料、習い事にかかる物品購入費用などです。
これ以外に、通学定期券代や外国留学するための渡航費用(1回の留学について1往復まで)や、就学に伴って引っ越しをする場合にかかる交通費(公共交通機関を利用。1回の就学で1往復まで)も非課税の対象となります。
4.一括贈与の方法と資金の利用方法
教育資金の生前贈与制度を利用する場合の手続きの方法をご説明します。
この場合、まずは贈与を受ける子どもや孫の名義で、信託銀行に口座を開かなければなりません。
そして、その口座に対し、一括で教育資金を振り込みによって贈与します。
親や祖父母が単純にお金を贈与すれば良い、というものではないので注意が必要です。
信託銀行に一括振込をしたら、贈与を受けた子どもや孫が教育目的でお金を使った場合、その領収証などを信託銀行に提示して、その都度払い出しを受けることになります。
領収証の発行元は、学校などの教育機関である必要があるので、親などが自分で学用品を購入してしまった場合には、対象外とされてしまうことがあります。
このように、教育資金一括贈与の制度は、利用に際して面倒な点があることには注意が必要です。
5.制度の終了時の取扱い
教育資金の一括贈与制度は、贈与されたお金が全額使われた時点(最大1500万円)で当然に終了します。
また、全額使い切れなかった場合でも、贈与を受けた子どもや孫が30歳になったら、その時点で制度の利用が終わります。
その場合、残った金額に対しては、通常の税率で贈与税が課税されることになります。
まとめ
以上が、親や祖父母から子どもや孫への教育資金生前贈与(一括贈与)の非課税制度のポイントです。
賢く利用すれば節税対策になるので、ケースに応じて効果的に活用しましょう。