胎児にも相続権はある? 相続手続きは誰がやるのか?
遺産相続では配偶者には常に相続権があり、次に子ども・親・兄弟と優先順位が下がっていきます。
そんななか、まだ生まれていない「胎児」の相続権について気になる方もいるでしょう。
今回はその疑問を解決すべく、まだ生まれていない子どもの遺産相続についてご紹介します。
胎児でも相続権がある?
民法では、「出生(誕生)によって自然人は権利能力を取得する」と規定されています。
しかし胎児に関しては「すでに生まれたものとみなす」という例外的な内容が定められています。
このため、妊娠している時点で胎児にも相続の権利が発生するのです。
ただ、死産であったり、お腹の中で死んでしまったりした場合は相続権が消えてしまいます。
胎児が産まれるまでは遺産分割はどうなる?
胎児が産まれる前に亡くなった場合、遺産分割の内容が変わります。また胎児には相続放棄もできないため、生まれるまで財産分割は行われません。
このため、赤ちゃんが無事生まれた後に遺産分割が行われます。
なおこの場合、赤ちゃんには代理人がつくことになります。
ちなみに、赤ちゃんの母親は、赤ちゃんと共に相続人になる場合には、赤ちゃんの代理人になることはできません。
家庭裁判所で特別代理人を立ててもらい、その代理人が赤ちゃんの代わりに分割協議に参加することになります。
すでに離婚していたらどうなる?
たとえば胎児がいる状態で離婚し、後に夫が死亡したとします。
この場合、妻は離婚しており配偶者ではなくなっているため相続をすることはできません。
しかし胎児は父親と血縁関係にあるため相続が発生します。
出生後に死亡してしまった場合
既に子どもが1人おり、母親が胎児を妊娠していたとします。
この状態で夫が死亡して相続が発生、さらに相続権のある胎児が出生の5分後に死亡してしまった場合どうなるのでしょうか。
法律に則った場合、生まれた赤ちゃんに相続が発生したと認められます。
たとえば夫の財産が4000万円だった場合、母親に半分、子どもに4分の1ずつ相続されるため次のようになります。
母親:2000万円 子ども:1000万円 赤ちゃん:1000万円
しかし、赤ちゃんが産まれた後に亡くなってしまった場合、赤ちゃんの財産を母親と兄弟で分配することになります。
よって、相続財産の分割は以下のようになります。
母親:2500万円 子ども:1500万円
財産の相続手続きは、専門知識が必要になります。
また、赤ちゃんの代理人を立てる際にも、書類の手続きが必要になり、一般人には難しい作業となるでしょう。
このため、相続が発生したとわかった際に専門家に相談することをおすすめします。