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遺留分とは何か?計算方法を解説

8c09068f14846dd795662d58b39b2416_m遺産相続が起こった場合、法定相続人であっても必ず遺産を受け取れるわけではありません。相続人の内の一部に遺産を相続させる旨の遺言があったり、相続人以外に遺産を遺贈する旨の遺言などがあると法定相続人であっても遺産を受け取れなくなってしまうことがあります。
しかし、そのような場合でも、一定の範囲の法定相続人には、最低限の遺産の取得分として遺留分が認められます。遺留分の割合は、それぞれの法定相続人の立場によっても異なりますので、具体的に遺留分を請求する場合、どのようにして計算するのかが問題です。そこで今回は、遺留分とその計算方法について解説します。

1.遺留分とは

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められる最低限の遺産の取得分のことです。

法定相続人は、本来であれば遺産相続する権利がありますが、遺言や死因贈与などがある場合には、法定相続人であっても遺産を受け取れなくなる可能性があります。

たとえば、配偶者と子ども2人(長男、長女)が法定相続にとなるケースでも、遺言によってすべての遺産を長男に遺贈することが定められていたら、配偶者や長女はまったく遺産を受け取ることができません。このような場合、本来の法定相続人にも一定の範囲で最低限の遺産取得分を認めるのが遺留分です。

遺留分が認められるのは、兄弟姉妹以外の法定相続人です。

2.遺留分の割合

次に、遺留分の計算方法を考える前提として、それぞれの法定相続人の遺留分の割合をご説明します。

遺留分の割合は、誰が法定相続人になるかによって異なります。

具体的には、親や祖父母などの直系尊属のみが法定相続人となるケースでは、遺留分は本来の法定相続分の3分の1になります。それ以外のケースでは、遺留分の割合は本来の法定相続分の2分の1です。

たとえば、被相続人に配偶者と子ども2人(長男、長女)がいるケースでは、もともとの法定相続分は配偶者が2分の1、子ども達がそれぞれ2分の1×2分の1(子どもが2人)=4分の1なので、配偶者の遺留分が2分の1×2分の1=4分の1、子ども達の遺留分がそれぞれ4分の1×2分の1=8分の1となります。

3.遺留分の計算方法

db43ef76810a4571602c2e1700209e14_mそれでは、具体的な遺留分の計算方法を見てみましょう。

遺留分を計算する場合には、まずは遺産総額を確定する必要があります。このとき、基準とする遺産は、単純に現実に存在する遺産そのままではない場合があるので注意が必要です。

遺留分計算の際に対象とする遺産は、以下の方法で計算します。

遺産の中のプラスの資産+死亡前1年以内の贈与財産の価格-遺産の中の負債

つまり、プラスの資産もマイナスの負債も全体を差引計算して、かつ死亡前1年以内の生前贈与分を足した金額を基準にします。

死亡前1年以内の贈与とは、具体的には以下のようなケースをいいます。

  • 相続開始前1年間に行われた生前贈与
  • 遺留分権利者に損害を与えると認識して行われた贈与
  • 当事者の双方が遺留分権利者に損害を与えると認識しながら行われた、不相当な対価での有償処分(不当に安く不動産を売却したケースなど)

わかりやすいように、具体例を挙げてみましょう。

たとえば、ある人が亡くなったときに、遺産の額が5000万円あったけれども、負債が1000万円あり、亡くなる3ヶ月前に相続人のうち1人に2000万円の生前贈与をしていたケースでは、遺留分計算の基準となる相続財産の金額は

5000万円+2000万円-1000万円=6000万円となります。

このようにして基準となる遺産の額を計算したら、次は遺留分の計算をします。

遺留分は、基準となる遺産の額に、ケースごとの法定相続人の遺留分割合をかけ算して求めます。

そうして計算できた金額からは、遺留分権利者が相続によって取得した財産や遺留分権利者の特別受益分、遺留分権利者が受けた遺贈の額を控除する必要があります。

4.遺留分の計算例

以上の遺留分の計算方法を前提に、具体例を挙げて遺留分計算をしてみましょう。

被相続人の配偶者と子ども2人(長女及び次男)が相続人となるケースで、遺言により、長男にすべての遺産を相続させる旨定められていたとします。

このとき、遺産総額は5000万円でしたが負債が1000万円あり、相続開始前6ヶ月の時点で配偶者が500万円の生前贈与を受けていたとしましょう。

この場合、まず、遺留分計算の基準となる遺産の額は

5000万円+500万円-1000万円=4500万円です。

そして、それぞれの法定相続人の遺留分割合は、配偶者が2分の1×2分の1=4分の1

長男及び長女が、それぞれ2分の1×2分の1(子どもが2人)×2分の1=8分の1となります。

そこで、具体的な遺留分は以下のとおりとなります。

配偶者の遺留分は、4500万円×4分の1-500万円=625万円

長女の遺留分は、4500万円×8分の1=562万5千円

そこで、配偶者と長女は、遺留分侵害者である長男に対して、それぞれ625万円、562万5千円の遺留分の返還を求めて遺留分減殺請求をすることができることになります。

遺留分減殺請求は口頭で請求しても一応有効ですが、後に証拠を残すために内容証明郵便を利用して通知書を送る方がよいでしょう。

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