相続税で還付金を受け取れる?払いすぎが起こる理由と還付請求方法を解説
相続税の計算をして納税をすると、払いすぎになってしまうことがありますが、この場合には、後に更正請求をすると、相続税の還付金が返ってきます。
そもそも、相続税の払いすぎはなぜ起こるのか、払いすぎた相続税の還付請求の方法についても知っておく必要があります。
そこで今回は、相続税の更正請求による還付の手続きについて解説します。
1.相続税を払いすぎると還付請求できる
相続税は、いったん支払をしたら終わりだと考えている人も多いですが、実際にはそうではありません。
相続税を支払いすぎになるケースがありますし、払いすぎた場合には、その分を返してもらうことができます。この手続きを相続税の還付請求と言い、返ってくるお金のことを相続税の還付金と言います。
相続税の還付請求をすると、1000万円以上ものお金が返ってくることも多いので、払いすぎに気づかず放っておくことは非常にもったいないです。
2.相続税を払いすぎになる理由
そもそも、相続税の支払いすぎはどうして起こるのでしょうか?
多くの場合、土地の評価が適正にできていないことと申告方法に問題があったことが原因です。以下で、個別に見てみましょう。
(1)土地の評価が適正にできていない
土地の評価が適正にできていないために相続税が適正価格より多めに計算されてしまうことがあります。
土地を相続税評価するとき、基本的には相続税路線価や評価倍率法を使いますが、この場合、土地の形状や権利関係などによって、評価の減額が行われることがあります。
たとえば、細長い形状の場合や逆に奥行がなさすぎる場合、不整形の場合などには補正減額が行われますし、土地を賃貸に出していたり、土地上の建物を賃貸に出していたりすると、それぞれ評価額を減額する計算方法が適用されます。
また、土地が小規模な宅地の場合にも、土地の用途に応じて小規模宅地の特例によって、土地の評価額が減額されます。
このように、土地にはいろいろな評価減額要素があるので、すべて見逃さずに適用するため、専門的な知識と経験が必要です。
ところが、自分で調べて相続税の申告を行った場合などには、土地の適正な評価ができずに評価額が本来より高くなって、結果的に相続税も高くなり、納め過ぎになってしまうのです。相続税評価を適正に行うためには、専門家である税理士に依頼する必要が高いです。
(2)申告方法に問題がある
相続税を支払いすぎになる原因には、相続税申告方法に問題があることもあります。
まず、自分で相続税の計算をして申告とすると、上記のように土地の適正な評価をすることができず、各種の評価減の制度などを見逃すことによって相続税が高額になってしまいます。
かといって、税理士に依頼すれば良いということでもありません。
税理士の中でも、相続税申告や土地評価に慣れた人でない場合には、やはり適正に土地評価ができず、相続税の払いすぎが起こるケースがあります。
実際、年に1回も相続税申告手続きの仕事をしない税理士も多く存在するので、そのような税理士に相続税評価や申告を頼むと、上手に節税対策をしてくれることは期待しにくいです。
さらに、相続税の申告は完全に自己申告となっているので、土地の評価方法が間違って高額になっていても、税務署から指摘してもらうことができません。
払いすぎた税金は、放っておくとそのままになってしまうのです。
そこで、当初から払いすぎにならないように、良い税理士に申告手続きを依頼する事が重要になってきます。
3.還付請求の方法
相続税の還付請求を受けるためには、土地評価や相続税の申告手続きを専門的に取り扱っている、相続問題に強い税理士に手続きを依頼する必要があります。
税理士に依頼したら、不動産鑑定士などの専門家と協力をして、現地調査をしながら土地の評価をやり直します。
このとき、土地の形状が複雑な場合には、数ヶ月以上をかけてじっくり調査をすることもあります。そうしてすべての適用出来る評価減額要素を抽出して、土地の相続税評価の減額を行います。
その結果にもとづいて、税理士が税務署に対し、更正請求という手続きをとります。すると、税務署においても調査と検討が行われ、更正が認められたら相続税の還付が行われます。
4.還付請求の期限
相続税の還付請求には期限があり、具体的には、「相続税の申告(納税)期限から5年以内」とされています。
相続税申告期限は相続開始から10ヶ月以内なので、更正請求は相続開始から5年10ヶ月以内ということになります。
ただ、税理士に依頼してから実際に更正請求ができるまでには、上記のように土地の調査などが必要になるので数ヶ月程度がかかることも多いです。
そこで、更正請求によって還付金を受けたい場合には、期限が過ぎてしまう前に、早めに相続問題に強い税理士に相談することをおすすめします。