相続登記の必要書類と登記の方法について
遺産相続が起こったとき、遺産の中に土地や建物などの不動産が含まれていることがあるかと思います。
この場合、不動産の相続登記が必要になります。
相続登記を行うときには、どのような書類をそろえて、どのような方法で手続きすれば良いのでしょうか?
今回は、相続登記の必要書類と登記の方法について、解説します。
1.相続登記とは
相続が起こったときに遺産の中に土地や建物などの不動産があると、被相続人(亡くなった人)から相続人へ、不動産の名義を書き換えないといけません。
この、被相続人から相続人への不動産の名義書換のことを、「相続登記」と言います。
名義書換は不動産の所有名義を移転する不動産登記のことですが、相続によって不動産の登記名義を書き換えるので、相続登記と言うのです。
相続登記をしないと、不動産の名義がいつまでも死亡した被相続人の名前になってしまい、外形的には、誰が不動産の所有者なのかわからなくなってしまうので、トラブルも起こりがちです。
不動産を相続したら、速やかに相続登記することが大切です。
2.ケース別の相続登記
相続登記を行う場合、いくつかのパターンがあります。
そこで以下では、どのようなケースがあるのか、ケースごとの相続登記の方法を紹介します。
(1)遺言がある場合
まず、遺言書がある場合の相続登記があります。
遺言書がある場合、被相続人が指定した特定の相続人や受遺者が不動産を相続します。
そこで、相続登記の内容は、被相続人から遺言書で指定された相続人や受遺者に対し、相続を原因として所有権を移転するものとなります。
(2)共有状態で登記する場合
遺言書がない場合には、相続人らが不動産を共有にしたまま相続登記をすることができます。
相続人らは遺産分割協議をしますが、遺産分割協議によって不動産の相続人が決まるまでの間は不動産が共有状態になるため、法定相続人が共有持分権者となる内容の共有登記ができます。
(3)遺産分割協議した場合
遺産分割協議をすると、協議によって決まった相続人が不動産を相続する内容の相続登記ができます。
3.相続登記の必要書類
次に、相続登記のための必要書類をご紹介します。
- 登記申請書
まずは登記申請書という書類を作成しなければなりません。これには登記の目的や登記を移転する原因、相続不動産の情報や相続人の情報、不動産の価値など記入して、自分で作成するものです。
- 登記事項証明書
対象の不動産の登記事項証明書が必要です。これは、法務局で取得できるものです。
- 被相続人の住民票の除票(本籍が記載されている)
- 被相続人の生まれてから死亡するまでの戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本
- 相続人全員分の戸籍謄本(相続開始日以降に発行されたもの)
- 相続人全員分の印鑑登録証明書
遺産分割協議書をもって相続登記するときに必要です。遺言書による場合や共有名義で登記をする場合には不要です。
- 遺言によって相続登記するときには遺言書
- 遺産分割協議によって相続登記するときには遺産分割協議書(実印による押印)
がそれぞれ必要です。
- 不動産の固定資産評価証明書
登記申請の際にかかる登録免許税の計算のため、必要になります。
- 不動産の相続を受ける相続人の住民票
4.相続登記にかかる費用
相続登記をする場合には、登録免許税が必要です。
その価格は、固定資産税評価額の0.4%となります。
また、相続登記の際には、戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本が必要になりますが、これらの取得費用もそれなりに費用がかかるケースがあります。
1通について450円または750円と往復の郵送費用がかかるので、枚数が増えると数千円以上になることもあるからです。
戸籍謄本や除籍謄本の取得の手続きも大変な作業になることが多いので、対応に困った場合には専門家に依頼することもできます。
5.相続登記の申請方法
相続登記を申請するときには、上記で揃えた書類を法務局に持っていき、費用とともに提出すると手続きができます。
登記申請書が受け付けられると、問題がなかったら名義書換の相続登記ができて、法務局から「登記識別情報」という書類が交付されます。
これは、昔の不動産権利証と同じものであり、その不動産の所有者であることの証明になるものです。
共有で相続登記する場合には、1通しか交付されないので、代表者が受けとることになります。
登記識別情報は、将来不動産を売却する際などに必要になる重要な書類なので、なくさないように大切に保管しましょう。
6.相続登記しないとどうなるのか?
不動産を相続しても、相続登記をしないことがあります。
不動産の所有者が変わったときに所有名義を書き換えなくても、特に罰則などはありませんし、相続登記に期限もないからです。
しかし相続登記をしないと、外見的には誰が不動産の所有者なのかがわかりません。
そうなると、他の相続人や第三者が勝手に不動産を他人に売却してしまうかもしれません。
また、将来自分が死亡して再度の相続が起こると、誰が不動産所有者かが余計にわかりにくくなりますし、2重に相続登記が必要になって、相続人に多大な手間をかけることになります。
そこで、不動産を相続したら、多少面倒でも早めに相続登記すべきです。
まとめ
相続登記の必要書類と登記方法について解説させていただきました。
不動産の所有者が変わっても罰則はありませんが、内外合わせてトラブルを避ける為に相続人同士でよく話し合い、早めに相続登記することをおすすめします。