相続しない相続人への御礼
当事務所に相続手続きのご依頼をいただいたお客様より、たまに、遺産分割協議により相続を辞退してくれた相続人に対し、「印鑑証明書発行費用、手間賃、判子代等を支払った方がいいでしょうか?」というご質問をいただく時があります。
遺産分割協議が成立するには、相続人全員が協議内容に納得したことが前提であるため、相続を辞退した相続人は何ももらえないことを納得していると考えられますので、ご厚意に甘えて、原則として手間賃や判子代等を支払う必要はないと考えております(もっとも相手方が支払いを求めてくるのであれば話は別ですが)。
しかし、例えば配偶者と兄弟姉妹が相続人となるような場合には、兄弟姉妹の方が配偶者が被相続人の全財産をもらうのが普通であると考えてくださり、配偶者が全財産を相続する遺産分割協議に善意で応じてくださるということがよくあります。
このような場合には、何も相続しないにも関わらず、兄弟姉妹に対し相続手続きに必要な印鑑証明書の取得と、遺産分割協議書への実印での押印をお願いしなくてはなりません。
そのため配偶者の方は、自分が全財産を相続するのに、兄弟姉妹に手間をかけさせて、さらに印鑑証明書発行費用を負担してもらうことにためらいを覚えるのだと思います。
当事務所にご依頼をいただいた場合には、お客様のそういった心情面もお聞きした上で、時には遺産分割協議書を発送する際に印鑑証明書発行費用を同封するのか、それとも手続き完了後に御礼をお送りするのか等、お客様のご意見を取り入れて手続きを行うようにしています。
この辺りは法律の問題ではなく、当事者間の心情的な問題ですので、お客様のご意見を優先させるのが一番妥当な解決になるのだと、考えております。
お読みいただきありがとうございました。
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当事務所にご依頼いただくお客様にはこういった気持ちの面なども、遠慮なくお伝えいただけると嬉しいです。