遺言書を作成するなら、公正証書遺言にしよう!
自分の死後、子どもたちなどの相続人が相続トラブルになることは、誰も望んでいないものです。しかし、実際には相続トラブルが多く起こっており、親族間で骨肉の争いが繰り広げられています。
遺産トラブルを避けるには遺言書作成が効果的ですが、遺言書にはいくつかの種類があり、中でも公正証書遺言はトラブル防止にとても役立つ方法なのでおすすめです。
そこで今回は、公正証書がおすすめの理由と作成方法を解説します。
1.遺言書があると相続トラブルを避けやすい
自分の死後の相続トラブルを避けたいなら、遺言書を作成すべきです。
このようなことは一般的にもよく言われていることなので、「知ってるよ」という方もいるでしょう。ただ、遺言書があると実際にどうしてトラブルを避けやすいのかが理解されていないことがあるので、ご説明します。
遺言書がない場合に相続人が複数いると、遺産分割の方法を決めるため、相続人らが遺産分割協議をしなければなりません。
このとき、相続人同士の意見が合わずにトラブルになることが非常に多いのです。
たとえば、遺産の中に不動産が存在する場合、誰が取得するかで意見が合わないことが多いですし、不動産の評価方法でもめてしまうこともあります。
特定の相続人が寄与分を主張することも多いですが、こうした場合、他の相続人が寄与分を認めないので、やはりトラブルになります。
ここで遺言書があったら、遺言の内容にしたがって遺産分割を行うので、相続人らは遺産分割協議をする必要がありません。そこで、遺産の分け方についてお互いに意見が合わずにもめる必要がないので相続トラブルを避けやすくなります。
2.自筆証書遺言は無効になりやすい
遺言書を作成して将来の相続トラブルを避けるとしても、どのような種類の遺言書を作成するかが問題です。
遺言書にはいくつか種類がありますが、中でも代表的なものは自筆証書遺言と公正証書遺言です。
この中で、自筆証書遺言は無効になりやすいという問題があります。
まず、自筆証書遺言は厳格に要式が定められていて、その要式に少しでも違反すると無効になります。
たとえば、自筆証書遺言は遺言者が全文自筆で書く必要があります。パソコンで作成したり、第三者に代筆してもらったりすることは一切認められません。たとえ一部でも自筆で名胃部分があれば、遺言書は全部無効になります。
また、自筆証書遺言では、第三者による偽造や変造が簡単です。
相続人のうちひとりが勝手に遺言書を偽造することもありますし、保管して置いた遺言書を発見されて、勝手に書き換えられる可能性もあります。
さらに、自筆証書遺言は、保管が難しいです。適当に保管していると、いつの間にかなくなってしまうことがありますし、かといってあまりに厳格に管理していると、自分の死後も相続人が発見してくれない可能性があります。
せっかく遺言書を作成しても、発見されないと遺言書がない前提で遺産分割協議が進められてしまうので、遺言書を作成する意味が全くなくなってしまいます。
3.公正証書遺言が安心な理由
以上のように問題の多い自筆証書遺言に対し、公正証書遺言なら安心です。
公正証書遺言とは、公務員である公証人が公正証書の形で作成してくれる遺言書のことです。
公正証書遺言は、公証人が業務として作成してくれるので、要式違反になって無効になるおそれは通常ありません。
また、公正証書遺言を作成する場合には、本人の身分確認をして厳格に手続きが行われるので、偽造が行われる危険もほとんどありません。
さらに、公正証書遺言を作成したら、その原本が公証役場に保管されるので、遺言書を紛失するおそれもありませんし、公正証書遺言の検索サービスがあるので、死後に相続人が発見できないおそれも少ないです。
このように、公正証書遺言を作成しておくと、いろいろな意味で自筆証書遺言よりも確実に自分の遺志を実現することができます。
確実に遺産トラブルを避けたいなら、公正証書遺言を作成しておきましょう。
4.公正証書遺言の作成方法
それでは、公正証書遺言を作成するには、どのようにすれば良いのでしょうか?
この場合、まずは最寄りの公証役場を訪ねて、公正証書遺言作成の申込みをします。
そして、遺言の内容を自分で決めて、公証人に伝えます。すると、必要書類の指示がありますので、それを集めます。基本的に、証人を2名用意する必要がありますが、用意出来ない場合には公証役場で紹介してもらうことも可能です。
そして、公証人と証人との日程調整をして、公正証書遺言を作成する日を決めます。
定められた日に必要書類と身分証明書、印鑑を持っていったら、公正証書遺言を作成してもらうことができます。
このとき、遺産の総額に応じて費用がかかります。金額はケースによりますが、数万円程度になることが多いです。
以上のように、公正証書遺言を作成しておくと、将来の相続トラブルを避けられる可能性が高まります。今、遺言書を作成しようとしている場合、是非とも一度検討してみると良いでしょう。